『夏目友人帳』⑭夏目貴志、妖怪にも名取周一にもダマされる?

『夏目友人帳』⑭夏目貴志、妖怪にも名取周一にもダマされる?

『夏目友人帳』⑭夏目貴志、妖怪にも名取周一にもダマされる?

 

あらすじ「妖退治 湯けむり行」

夏目と同じように妖をといわれるものの類を見ることができる名取周一。表では人気俳優、裏では妖祓いをしている彼に誘われ、夏目は温泉旅行に行くことに。ニャンコ先生を伴い、二人と一匹、一泊二日の温泉旅行が始まった。旅を満喫する夏目だったが、周りで気になることが起こり始める。押入れからの物音、天井からぶら下がった着物姿の人影――。旅行に連れてきてくれた名取のためにも、気を煩わせず、旅行を楽しもうとする夏目だったが…

 

 

妖怪退治の専門家である名取周一、
表の顔は人気俳優で、裏の顔は「妖怪バスター」。

 

貴志は、名取周一の「妖怪退治」を良く思っていない。

 

貴志はどちらかというと
「もののけ」になった経緯を重要視している。

 

ゆえに、そこには人間を恨んだり、慕ったりという
感情のやり取りがあったことを考慮しないで
「退治」するだけの名取周一のやり方には抵抗があった。

 

もちろん、貴志は妖怪に「名前」を返すことによって
「成仏」=念のエネルギーから光のエネルギーに変化させて
「光の素粒子」フォトンに還元してしまうのだが、
それは「退治」=「殺人」とは違うと考えている。

 

名取周一は「妖怪」を退治する能力、
妖怪を使役する術においてもプロフェッショナルだ。

 

人間に害をなす以上は「退治」する必要があるし、
事情を考慮していては仕事にならない。
その立ち位置は、見ていてもよくわかる。

 

「情けは人のためならず」、退治する方も

 

文字通り「命がけ」で、食うか食われるか?の問題なのだ。

 

名取にダマされて(悪気はない)妖怪退治のための
旅行に来た貴志、はじめての旅行なので楽しまなくては、
と無意識に気を使っている。

 

 

 

ペット可能ということで、ニャンコ先生も
一緒に来ていたのが救いになった。

 

貴志が名取周一に誘われて行った「温泉旅館」、
着くまでに電車やバスを乗り継いで
相当疲れたようだった。(内向型で気を使いすぎ)

 

着いて早々に
貴志は首から下が「ぶら下っている」妖怪を見るのだが、
名取周一は気づかない。

 

この時点ですでに「怪しい」と
観ている方は思うのだが、
名取はともかく知らん顔。

 

貴志も気を使って言葉を濁す。

 

押入れの封印された壷を見ても、
名取には言わなかった。

 

寝る前に名取は「今の保護者はどうか?」と尋ねたり、
「ウソをつくのに疲れたら僕の所においで」
と声をかけるのだった。

 

貴志は

「嘘つき呼ばわりされた」子供時代の夢を見てうなされる。

 

ニャンコ先生と名取が心配して起こしてくれる。
貴志は自分が夢を見て泣いていたことを
少し恥じらっている。

 

名取も深く追及はしない。

 

貴志は自分が子供のころから「理解されなかったこと」
「嘘つきじゃなかったのに信じてもらえなかった」
ことを悲しかった、と表現している。

 

私たちも、子供が悲しむということが心苦しい。

 

そしてお決りの丑三つ時、壷の封印を千切って
出現した妖怪は「夏目様」と名指しで、

 

名前を返してもらったら、おとなしく山に帰ると貴志をだますのね!

 

貴志は、スミレを信じて
名を返している儀式の最中に名取が戻ってきて、
それを目撃する。

 

お互い秘密があったわけだ。

 

名取は妖怪退治を手伝ってもらいたかったわけだし、
貴志はスミエの口車に乗せられ
「名前」を返してしまって力を持たせたことに
責任を取るべく共に戦うことになる。

 

 

封印を千切って出てきたほどのスミエは
海千山千のつわものだ。

 

 

「お前はレイコとは違う。」と
貴志のお人好しをあざ笑い、
食ってやると追いかけてくる。

 

 

名取の術もスミエに破れ、危機一髪のところに
「三つ目」が現れ貴志を救う。

 

この「三つ目」、貴志は忘れているが、
以前に貴志に助けられたことがあるという。

 

恩を返す為に
貴志の窮地を助けにやってきたというわけだ。

 

 

 

妖怪にも、独自のネットワークがあるのだろうか?

 

それに気になることを「三つ目」は言っている
「こ奴は私が連れて行って清めましょう」と。
このことも次回考えてみたい。

 

※「スミエ」「三つ目」の名前については後日ね!

 

ニャンコ先生も口癖で「食ってやる」と良くいうが、
妖怪が人間を食うというのは「命」のエネルギーを
丸ごと取り込むことのようだ。

 

肉体を食べるよりも「エネルギー」を取り込んで
干からびさせちゃう殺し方という点では、
命はエネルギーで、
肉体は乗り物ということになるのかな?

 

 

今回は生まれてはじめての旅行に行った貴志、
最初から名取周一には騙されていたわけだが、
妖怪にも騙された。

 

 

本人は妖怪のことはわかってきたつもりだったけど
「甘かった」と反省しきりだ。

 

 

けれども、私たちは貴志には
「ダマされる方のお人好し」でいて欲しいのだ。

 

相手の裏の裏を描くような
「百戦錬磨」のつわものになって欲しくない。

 

それは私たちは潜在意識で「人間は不完全だから愛おしい」
と「欠点」を受け入れている、それどころか

 

「欠点」があることの方が好ましいと思っているのだ。(笑)