私が通いたい占い師③中島ハルコに呪いを解いてもらったリストカット常習のケイちゃん

 私が通いたい占い師③中島ハルコに呪いを解いてもらったリストカット常習のケイちゃん

 私が通いたい占い師③中島ハルコに呪いを解いてもらったリストカット常習のケイちゃん

 

 

かれこれ20年も前の話だけど、

私の友人にケイちゃんという同級生がいる。

どうして彼女のことを思い出したかというと、

昨日『愛の不時着』の占い師さんのことを書いたから。

 

 

主人公の恋のライバルは、

平壌からロシアにチェロ奏者として留学していた。

それで「ハイソサエティのお嬢様」だった

ケイちゃんを思い出したの。

 

 

彼女は知多の開業医のお嬢様で

中学時代にイギリスにバレエ留学していた。

高校2年生で戻ってきたのだけれど、

昭和の時代だから本当に「一目置かれるハイカラさん」だった。

 

 

もちろん英語の授業だって際立って「本格的」だし、

身長が高くて素敵だった。

 

だけど、

 

彼女は身長が高すぎることでバレエを断念したの。

170㎝ぐらいあったから本当にスタイルが良くて

首がすっとしていて、髪も明るい色でね、

ホント憧れの少女だった。

 

それが、

 

大学卒業しても当時は花嫁修業で

ぶらぶらしてるのが流行っていて・・・

今じゃ考えられないけど「恋をして結婚するか」

「見合いで結婚するか」の二者選択が多かったの。

 

 

ケイちゃんの実家はお医者さまだし、

バレエをやらなかったお姉さまには

お医者様のお婿さんが来た。

 

 

ハッキリ言ってケイちゃんより

お姉さまのほうが美人度は下と私たちは見てたし、

お姉さまの旦那様の入り婿さまには全く関心がなかった。

 

ケイちゃんは、ご両親と

お姉さま夫婦と楽しく暮らしてたの。

 

 

私たちはケイちゃんが、

どんな男性と結婚するのかなぁ?と

遠巻きにみていた。

 

 

女子校だったんで、

誰かが恋をしたりしてたら「大騒ぎ」だったの。

 

今じゃアホか!というレトロすぎる愛知県の社会構造ね。

 

名古屋嬢って言葉があるけど、

わたくしも何十年前には「名古屋嬢」だった。

だったつもり、です。ワハハっ!

(すみません、笑い上戸で笑う時はワハハなんです)

 

 

ともかく、

 

この愛知経済圏ってのは「友達の友達はみんな友達」

になっちゃうような気安さがある。

 

それで「お見合い」もグルグル回ったりしちゃうのよ。

コレわかってもらえないかもしれないけど

「○○会社の社長の息子」先週はA子と見合いしたけど、

保留のまま、今週はB子と見合いしてるらしい・・・て、

ネットの無い時代でも噂は入ってくる。

 

 

私たちはゴシッピーな気持ちはひた隠しに

涼しい顔をして「主人公」と「傍観者」を使い分けていたの。

 

 

 

まぁ、30前後で8割結婚して、2割結婚しなかった

という結果がそれとなくわかってきたのは

同級生とPTAでご一緒して学校行事のたびに

「同窓会」になっちゃう40手前あたりから。

 

 

まったく「女の世界」なの。

 

そして私たちは知るの、風邪の噂で。

 

ケイちゃん、お見合い150回はしたらしいけど

結婚しなかったんだって!

ケイちゃん、ご両親が事故で一緒に他界されて

実家を追い出されたんだって!

ケイちゃん、行くとこなくて

美容院で住み込みで働いているらしいよ・・・等々。

 

 

ケイちゃんに何か起こると、それとなく

身内に関係者がいたりして聞こえてきちゃうの

 

 

私たちはステキなケイちゃんに起こった

不幸で理不尽な事に「おこがましくも痛ましい」

と思っちゃったわけ。

 

 

ケイちゃんこそ

「同情されたりするなんて最大の侮辱」

思うことはオンナならわかるよね?

 

 

主婦組が子供の受験だなんだっていうときに、

ケイちゃんはリストカットを繰り返し、

精神病院に入れられたり退院したり、

しかし実家には帰れなかった。

 

 

同級生には外科や精神科医の旦那様がいたりして

「ケイちゃんの噂」はエンドレスだった。

 

私は当時、子供の受験のことで御祈祷やら

「占い」に行ったりしてたら偶然ケイちゃんに

占い師さんのところでバッタリ再会したの!

 

 

その占い師さんは私たちの先輩で

「手相と顔相と四柱推命」を主にしていた。

 

それで「あらまぁ、あなたたち同級生だったの」

ということでチョッピリ気まずいなぁ、

って思いながら挨拶した。

 

 

 

そのときケイちゃんから「待ってるからお茶しない?」

と誘われて、内心「今?」とチラリと思った私の薄情な事。

 

主婦って子供が返ってくるまでに

仕事は山ほどあるものね!

だけど私は「オッケー」と口が動いてたわ。

 

私は「安心したいだけの相談」で

「今のままで大丈夫よ」と言ってもらえれば大満足、

20分ほどで占い終えて、

待っててくれたケイちゃんとお茶を飲みに行ったの。

 

 

ケイちゃんは相変わらず長身でステキだった。

ショートカットで学生時代の

バレリーナ風お団子ヘアから

ボーイッシュな魅力的な女性になっていた。

 

 

ケイちゃんの話はすごかったよ!

 

私たちは煙草をスパスパ吸いながら

2時間近くおしゃべりした。

 

K「この傷見てよ!」と両手の手首の傷の

半端なさを見せつけられ言葉も見つけられない私。

 

 

ケイちゃんは

 

K「私がどれだけ落ちぶれたかってことはみんな知ってるよね?」

という噂通りの「悲劇」を一通り聞いたあとで

K「人間って簡単に死ねないんだなぁ、って入院するたびに思ってた。エリちゃんがね(占いの先生)呪いを解いてくれたの。」

私「そうなんだぁ」

K「死んだ親を呪って、私を追い出した姉夫婦を呪って、呪い殺せなかったけど手首切るたびに恥かかせてやって復讐してた。」

私「・・・」(いうことナシの私、タバコ吸うしかないわ)

K「ケイは人を呪うから呪われた人生なんだよって」

私「えーっ?」

K「私さぁ、子供のころに人生の絶頂を極めてた、そういう自覚もってたし、お見合いだって英語も喋れんオトコと結婚するわけないじゃん!って高飛車だったの。高飛車な性格が呪いなんだって、エリちゃんがもう100回ぐらい叱ってくれて、一緒に泣いてくれて、姉の同級生なのに一緒に姉の悪口を山ほど言ってくれた。リストカットしてもお見舞いに来て”死なない程度に騒ぎ起こしてスッキリできたか?この大馬鹿野郎って!”メチャクチャに怒ってくれて・・・」

私「えぇぇ、エリちゃん先生が?」

K「ね、あんな上品な女がこの世の悪態全部合わせたぐらい悪い言葉で私を叱ってくれて泣いてくれて抱きしめてくれたの。今日もお金を払いたいって来たんだけど受け取ってくれないからカオルに預けてもいい?」

私「いや、そりゃダメ。ダメだよ。」

K「やっぱりダメかぁ、カオルって冷たいもんね」

私「そんなわけでは…もにょもにょ」

K「ウソだよ!私誰かに聞いてほしかったんだなぁ、あんなに華やかだったのに知らない間に落ちぶれちゃったこと。でも私に高飛車の罰が当たったわけじゃないってエリちゃんが言ってくれたし。この世にバチなんかない、運が悪い時が長引いただけ。自立のチャンスって、口が酸っぱくなるほど。それで私エステサロン開業したいなぁって相談したの」

私「そうだったんだ!良かったじゃん!」

 

 

とたばこを消しながらホッとする私。

 

 

ケイちゃんはちょっと恥ずかしそうに

「私たち酉年の七赤金星だから、一生食いっぱぐれ無いんだって!私にもソロソロ”イイ男”が現れてサロンもオープンできるよって!」

 

というではないか!ホントか、ソレ?

 

と大いに疑問に思った私だった。

 

けどケイちゃんの呪いを解いた

エリちゃん先生はすごいよね!

物凄い罵詈雑言でケイちゃんを罵り、

呪いを解き、希望を持たせたの。

私はそれを最後にエリちゃん先生の

ところには行かなくなった。

 

 

だけどケイちゃんが言ってくれた

「私たち酉年で七赤金星、どんなに落ちぶれても食いっぱぐれなし!」

は私の潜在意識に沁みついて、いまだに効いてる。

何があったって食いっぱぐれないから大丈夫だって!

エリちゃん先生、林真理子の小説の「中島ハルコ」に似ているの。

ワハハっ!

 

 

 

そうそう、私が通いたい占い師さん

 

1酉年でも戌年でも一生食いっぱぐれないと断言してくれる

2この世にバチなんかないと言い切ってくれる。

 

この二つだけ言ってくれたら、絶対に信じる!