縁結びの神様⑨沼河比売(ヌナカワヒメ)ぶりっ子して恋の駆け引きではツワモノ!

縁結びの神様⑨沼河比売(ヌナカワヒメ)ぶりっ子して恋の駆け引きではツワモノ!

縁結びの神様⑨沼河比売(ヌナカワヒメ)ぶりっ子して恋の駆け引きではツワモノ!

 

今日の縁結びの女神様、
沼河比売ヌナカワヒメね!

 

 

4.沼河比売(ヌナカワヒメ)

 

オオクニヌシが越の国の沼河
こしのくにのぬまかわ
=新潟県糸魚川市に
美女神がいると聞いて
わざわざナンパした美女神。

 

このヌナカワ姫、
バージンとは思えない
恋の駆け引き上手!

 

日本初の愛の歌とその返歌。
というと聞こえがいいけど

 

 

返歌の内容が「初」とは思えない大胆さなんです!

 

ヒスイの勾玉を持った女神様!

 

 

嫉妬深い激情家の妻
須勢理毘売命(スセリ)を
やきもきさせた女神様。

 

 

 

 

 

モテ男オオクニヌシと
ヌナカワの出会いと結婚は、
古事記で初めての
ラブロマンス・オペラ風の
歌の交わし合いです。

 

 

古事記に載ってる初めての恋歌、
つまり日本史上初の恋愛歌なの。

 

 

古事記って実は全部、漢字で書かれてるの!

 

 

音に当てはめた、漢字!

つまり、般若心経と
おんなじなのよね!

 

 

言霊からみたら、
じつはチョースゴイ!

 

 

興味があったら引用も
ご覧になってね!

 

 

夜知富許能 迦微能美許登波 夜斯麻久爾 都麻麻岐迦泥弖 登富登富斯 故志能久邇邇 佐加志賣袁 阿理登岐加志弖 久波志賣遠 阿理登伎許志弖 佐用婆比邇 阿理多多斯 用婆比邇 阿理迦用婆勢 多知賀遠母 伊麻陀登加受弖 淤須比遠母 伊麻陀登加泥婆 遠登賣能 那須夜伊多斗遠 淤曾夫良比 和何多多勢禮婆 比許豆良比 和何多多勢禮婆 阿遠夜麻邇 奴延波那伎奴 佐怒都登理 岐藝斯波登與牟 爾波都登理 迦祁波那久 宇禮多久母 那久那留登理加 許能登理母 宇知夜米許世泥 伊斯多布夜 阿麻波勢豆加比 許登能 加多理其登母 許遠婆

解釈 八千矛の 神の命は 八島国 妻枕きかねて 遠遠し 高志の国に 賢し女を 有りと聞かして 麗し女を 有りと聞こして さ婚ひに あり立たし 婚ひに あり通はせ 大刀が緒も いまだ解かずて 襲をも いまだ解かねば 嬢子の 寝すや板戸を押そぶらひ 我が立たせれば 引こづらひ 我が立たせれば青山に 鵺は鳴きぬ さ野つ鳥 雉はとよむ 庭つ鳥 鶏は鳴く 心痛くも 鳴くなる鳥か この鳥も 打ち止めこせね いしたふや 天馳使 事の 語り言も 是をば

 

 

その歌い出しがすごい。

 

「日本中でもういっぱい
女囲っているけど、
越の国にも美女がいるって聞き、
夜這いしに来ちゃったよ。
俺の女の一人になりなよ」

 

 

……複数の女の存在を言い切り、
その上でのあまりにも
堂々とした夜這い宣言。
全く悪びれてない・・・

 

 

 

「まだ剣は腰に差したままだし、
袴も脱いでいないけど、
姫の寝室の窓の板戸を
押したり引いたり、
揺さぶって、悶えているんだよ~」

 

 

……とんでもなく下世話。ナルシストで厚かましい。

 

それにしても、
イキナリ事をいたそう・・・て
どうなの? 

 

 

これが日本で初めての恋歌とは。

 

 

完成度、高すぎといよりも、
これを見たら、
スサノオによる日本初の
和歌があまりにも素朴すぎよね?

 

 

これに対して、
ヌナカワが返した歌は、

 

 

夜知富許能 迦尾能美許等 奴延久佐能 賣邇志阿礼婆 和何許許呂 宇良須能登理叙 伊麻許曾婆 和杼理邇阿良米 能知波 那杼理爾阿良牟遠 伊能知波 那志勢多麻比曾 伊斯多布夜 阿麻波世豆迦比 許登能 加多理碁登母 許遠婆

解釈 八千矛の 神の命 ぬえ草の 女にしあれば 我が心 浦渚の鳥ぞ 今こそは 我鳥にあらめ 後は 汝鳥にあらむを 命は な殺せたまひそ いしたふや 天馳使 事の 語言も 是をば

 

 

「今はちょっと待って、
まだ心の整理がつきません。
でも、必ず
あなたのものになるでしょう。
人生エンジョイしましょう」

 

 

……もう、
オオクニヌシのものに
なること確定なのね。
ちょっと
焦らしていて可愛いですが。

 

 

ぶりっ子ぶりを見せつけ

 

 

しかししかし、

 

 

その直後に「豹変」たヌナカワの歌。

 

 

原歌 阿遠夜麻邇 比賀迦久良婆 奴婆多麻能 用波伊伝那牟 阿佐比能 恵美佐加延岐弖 多久豆怒能 斯路岐多陀牟岐 阿和由岐能 和加夜流牟泥遠 曾陀多岐 多多岐麻那賀理 麻多麻伝 多麻伝佐斯麻岐 毛毛那賀爾 伊波那佐牟遠 阿夜爾 那古斐支許志 夜知富許能 迦尾能美許登 許登能 迦多理碁登母 許遠婆

解釈 青山に 日が隠らば ぬばたまの 夜は出でなむ 朝日の 笑み栄え来て 栲綱の 白き腕 沫雪の 若やる胸を そだたき たたきまながり 真玉手 玉手さし枕き 百長に 寝は寝さむを あやに な恋ひ聞こし 八千矛の 神の命 事の 語り言も 是をば

 

 

 

「今は夜だけど、朝日のように
颯爽とやって来て、
私の乳房をそっと包んで
くれるでしょうね?

 

手をぎゅっと握って、
絡めてね。私と一緒の時は
くつろいで、寂しい恋はしないで、
また、させないでね」

 

 

……あらま!

 

 

いきなり積極的に豹変。
こんな歌をもらいながら、
オオクニヌシはその日は
我慢したのかどうか、

 

 

次の日に結ばれたと言います。

 

オオクニヌシの余裕の
かまし方、けしからん!

 

 

結局モテ男のオオクニヌシってマメ男でもあるの。

 

出かけて行って、歌読んで
厚かましくも悪びれないから

 

 

純情な女神たちは次々と
落とされちゃうのよ!

 

 

でも、ヌナカワ・・・
ただ者じゃないでしょ?

 

 

これだけの「恋の駆け引き」
をドショッパツからカマス!

 

 

この大胆さは「恋愛」には必要なんですよね!